2010年12月29日水曜日

坂田の碁〈3〉石の構え方 =★★★=

坂田 栄男 (著)/毎日コミュニケーションズ
タイトルは石の構え方とあるが、布石の活かし方のことである。
三々、小目、目はずし、星という順番で解説される。三々が最初というのが面白い。
最近の本ではあまり解説されることがなく、自分自身も打ったことがなかったので勉強になった。
中国流や三連星といった形の決まった布石戦略と違い、発想の柔軟性が問われる題材が多い。
最近の本と違い、文章と図の関係がスムーズでないので、やや読みづらい。古い本は紙を節約して内容を濃くする傾向があるからであろうか。

2010年11月17日水曜日

世界一わかりやすい打碁シリーズ 結城聡の碁 =★★★★=

結城 聡 (著)/毎日コミュニケーションズ
打碁集(棋譜解説)はたいていプロの技量を披露する棋譜を解説するので、難解な局面を深く検討する図がたくさん出てきて、あまり棋力の高くない小生などは最初の局面がどうだったか忘れてしまうことも多いので読むのに苦労を要する。
しかし、本書は中級者向けのようで、局面検討は浅めだが、とてもわかりやすく書かれているので一気に読める。著者が中級者にもわかりやすい棋譜を選んでくれたのかもしれない。
また、著者本人の棋譜なので、局面の感じ方やその後の構想を知ることができる点も楽しめる要素である。
この手の本が多く出版されることを望みたい。

2010年11月12日金曜日

地と模様を超えるもの―趙治勲の囲碁世界 =★★★★=

趙 治勲 (著)/河出書房新社
幼少期から持つ劣等感をバネに囲碁界の頂点に上り詰めた著者の自伝および人生哲学書。
輝かしい経歴を持つ著者にしては謙虚な人生哲学、『人間、そう威張れたものでない』が随所ににじみ出ている。

これまで著者の強さは読みの深さや局面の判断力が優れているからなのだろうと考えていたが、技量に加えて集中力と粘り強さが秀でているのだろうと感じた。
真似するのは難しいが、著者の棋譜を並べてみたくなった。
追記:著者から観た他の著名棋士の評価の部分は一般的な評価と異なり、結構面白い。

2010年10月26日火曜日

一生懸命 ふまじめ ‾囲碁トッププロの生き方‾ =★★★★=

武宮 正樹 (著) /毎日コミュニケーションズ
著者の囲碁は、宇宙流と呼ばれ、観る者をとても楽しませてくれる。著者本人も感性の趣くままに楽しんで打っていることがよくわかる。
人間は貪欲な生き物なので、目先の利益や勝負にこだわらずに碁を打つことは難しいが、素直な気持ちで自分自身が納得できる手を打ち続けられるようになりたいと思った。
囲碁を通じて会得したと思われる著者の人生訓がいろいろと語られていてこちらも面白い。見かけ(坊主頭)だけでなく、出家した人のようである。

2010年10月20日水曜日

六段合格の手筋150題 =★★★★=

日本棋院/日本棋院
三段合格シリーズの上にあるのがこの六段合格シリーズ。内容も3階級分上昇してかなり難しい。しかし、手筋は難易度が上がる程、正解手順の見事さに感心させられる度合いも大きい。自分の棋力以上の内容だが結構楽しめるものである。

2010年10月16日土曜日

布石の打ち方 (碁の教科書シリーズ) =★★★★=

石倉 昇 (著), 日本囲碁連盟 (編集)/ユーキャン
著者は初心者向けの著書が多いが、今回は中級者向けの布石理論。
代表的な布石を題材に、石の方向や使うべき定石などの要点を解説。誤った打ち方をした場合どう追求すべきかを問題形式で解説しているので興味深く読める。
続編も予定され、全7巻となるらしいので次巻以降も期待したい。

2010年10月7日木曜日

打ち込み対策これだけは―中級 =★★★★=

囲碁編集部 (編集)/誠文堂新光社
打ち込んだ側のサバキ方だけでなく、打ち込まれた側の対処方について詳しく勉強することができる。
打ち込み後の形成判断も、活き死にや地の大きさだけでなく、厚みの形成やまわりへの影響力、攻めが継続できるかどうか、先手を取れるかなどさまざまな観点があり、全局的な形成につながる可能性が高いことを知ることができた。

2010年10月2日土曜日

山田規三生の超攻撃法 (NHK囲碁シリーズ) =★★★=

山田 規三生 (著)/日本放送出版協会
羽根流の”戦わずして勝つ”とは対極に思える内容。羽根流では相手に大模様をはらせないよう心がけるのに対し、本書は自分に有利な場所や相手が緩着をした場所では戦いを起こして攻めることで自分の地を広げていこうという発想で扱う場面が異なる。
自分がネット碁を始める時期にNHKのテレビ講座で放送されていた内容で、一度勉強したことがあったので懐かしさを感じつつ読んだ。この講座の影響で黒を持つと、模様をはって戦う碁を実践してきたわけである。よく読んでみると、戦うための準備が必要であることがわかり、無謀な戦いを推奨しているわけではないことが理解できる。つまり戦いに入る前に入念な読みが必要であることがわかる。
孫子の兵法にあるように、有利な場所では戦い、不利な場所では戦わないでかわす臨機応変な判断力が必要ということだろう。

2010年9月28日火曜日

戦わずして勝つ方法 ‾羽根流布石理論‾ =★★★★=
羽根 直樹 (著)/毎日コミュニケーションズ
自分の碁の中に『戦いを避けて穏やかな碁にする』という発想が少なかったため、攻めがうまく続けば勝ち、攻めが空振りとなれば負けるという展開が多かった。従って、自分にとって本書はまさに”目から鱗が落ちる”という内容だった。
序盤で大きなリードを許さないことに心がけると、逆転をねらわなくてもよいので安定した碁が打てるのではないかと考えるようになった。素人の碁ではミスが多いので、相手のミスを咎めて局面を有利に持って行くことができそうだ。早速、実践してみようと思う。

2010年9月9日木曜日

三段合格の手筋150題 =★★★★=

日本棋院/日本棋院
戦いやヨセに利用する手筋の問題集。3手読みが必要な難問が多いが、いずれも実践に現れやすい形を想定した良問。繰り返し挑戦して棋力アップにつなげたい。

2010年9月8日水曜日

六段挑戦!小目の基本型後の攻防 =★★★★=

依田 紀基 (著)/棋苑図書
小目のシマリや小目を使った模様に対して寄り付いていくテクニックを習得する問題集。サバキの手筋や石の方向性、アラシのタイミングなど総合的な力が必要になってくる。六段挑戦と謳っているが、中級者にもわかりやすい内容。

2010年8月31日火曜日

三段合格の死活150題 =★★★★=

日本棋院/日本棋院
三段合格ともなれば、3手目がポイントとなる基本死活が多いので、長手数を最後までしっかり読みきる必要がある。難度を上げただけの奇問ではなく、実践によく現れる形の隅や辺の死活問題なので、すらすらと解けるようになれば棋力アップにつながることは間違いなかろう。

2010年8月17日火曜日

三段合格の定石150題 =★★★★=

日本棋院/日本棋院
定石には、要となる石の把握、石の形(効率性)、手筋などがふんだんに盛り込まれている。定石を覚えるというより、棋理を覚えるための良書。定石はずれの対処にも役立つ。

2010年8月9日月曜日

新ポケット定石100―石の効率を学ぶ! =★★★★=

日本棋院/日本棋院
定石の中に含まれる重要な一手を問うもの。
定石には効率がよい打ち方やよく使われる手筋が豊富に含まれていることがわかる。
また、定石をきちんと理解していないために、定石はずれを打たれた時の対処がわからないことも多いので、
改めて定石の勉強をしてみたくなった。

2010年5月26日水曜日

碁は戦略 知らずに打てない19の秘法 =★★★★=

牛窪 義高 (著), 月刊碁学 (編集)/毎日コミュニケーションズ
「碁の戦術」に続く第2弾。
前書が主に接近戦に関する棋理、手筋を解説するのに対し、本書は全局的な観点からの棋理を解説している。特に、厚みや模様がある場合に、価値の高い場所はどこかを考えることがポイント。
やや上級者向けの内容であるが、説明はとてもわかりやすい。読後、プロの棋譜を眺める視点が少し変わった気がする。

2010年5月15日土曜日

囲碁編集部 (編集)/誠文堂新光ヒラキとツメだけをテーマにした本はこれくらいのものだろう。内容は比較的簡単で、あまり複雑な解説は省略している。一手の価値の大きさがわかるとより優れていると思うのだが。

2010年4月14日水曜日

新・早わかり手筋小事典—目で覚える戦いのコツ =★★★★=

日本棋院/日本棋院巻頭に良い形と悪い形を列挙し、目で覚えることを促しているのがよい。
手筋の問題についても実践的。知っていれば過去の対局でもっと楽に打てたと思うものが多かった。

2010年4月8日木曜日

新・早わかり ヨセ小事典—碁敵に勝つヨセの順序と手筋 =★★★★=

 日本棋院/日本棋院問題数を絞って、実践によく出る形を扱っているので覚えてしまうだけで即効力あり。(実際にはヨミの力をつけることが大切なのはわかっているが)目数計算についての解説は少ないので、別書で勉強した方がよいだろう。

 

2010年3月30日火曜日

崩れ

相手の石を殺してしまおうと欲張った気持ちが見損じを生んでしまった悪い例。
昨日の対局より

2010年2月28日日曜日

勝利は10%から積み上げる =★★★★★=

張栩 (著)/朝日新聞出版
囲碁トップ棋士が勝負師としての考え方をまとめた本であり、囲碁の指南書ではない。本書の出版直後に著者はグランドスラム(囲碁の7大タイトルを制覇)を達成した。
当初、著者に対しては読みの鋭い天才棋士と考えていたが、努力も人一倍し、かつ勝ちに対する執着心も非常に強いことがわかった。プロ意識も強く、囲碁に取組む姿勢も誠実で立派だ。
自分の特徴を客観的に分析し、また自分なりの勝負に対する考え方を技術面、精神面からわかりやすく表現していて好感がもてる文章・内容だった。